モッジカート農園 Azienda Mozzicato は、南イタリアの美しい島、シチリア島に位置しています。
シチリア島は地中海の十字路という役割を担ってきた島。
シチリア島は、昔からアフリカ大陸から豊かな食材が運ばれ、イタリア本土からも美味しい食材が運び込まれてきました。
冬には雪が降る高さの山もあるため、南に位置していますが、海で採れる海産物の他にも、山沿いで採れる食材、平地で作られる食材、そしてアフリカ大陸から運ばれる食材などが集まる場所で、古くから美味しい食材が集まる美食の島として知られてきました。
彼らの農園は、シチリア島で有名なベスビオ火山より東南のシラクーザ県にあります。
モッジカート農園は、古木(こぼく)と呼ばれる古い木が多いのが特徴で、
大人が数人手を広げて立ってようやく囲めるくらいの立派な幹の木が沢山あります。
代々農園を受け継ぎながら、オリーブの樹々を大切にしてきたことがよく分かります。
油を採るためにオリーブの樹を生やしているのではなく、
オリーブの樹を育てながら、恵みを分けてもらう、そんな姿勢で栽培していることがこのような写真からも伝わってきます。
広い農園の敷地には、オリーブ以外の大きなフルーツの樹もあり、そして動物も沢山。
彼らがオリーブ畑の草をゆっくり食べられるのは、無農薬栽培だからこそ。
お父さんのジュゼッペさんから、息子のミケーレさんに代替わりし、農園はますます活気にあふれています。
彼らのオリーブ生産は、丁寧の一言に尽きます。
オリーブの実は秋になると、季節が進むごとに赤っぽく色づき、そして黒くなって熟していきます。
彼らはまだ色が付く前の緑色をした若い実だけを選別し、オイルづくりに使っていきます。
一つの樹に成るオリーブの実が、一斉に緑色をしている状態が長く続くことはありません。早く大きくなった実から次々と熟して色づいていくものなので、その中で緑色のオリーブだけをオイル作りに使うのは、生産者の意地と心意気ならでは。
緑色をした若いオリーブの実は、まだ油成分が実の中に十分に育っておらず、搾油率はとっても低いのです。ですが、ポリフェノール含有量はとても高い。
ポリフェノール含有量が高いオイルは、
オイルがヘタレないので、高温調理にも向き、そして何よりも保存に向きます。
食べた時もオイルがサラリとしていて、胃もたれもせず、栄養価の高いオイルなのです。
緑色の実だけを選んでオイルづくりをする彼らは、量より質を重んじる生産者。
このような緑の実だけを搾っている現場に立ち会うと、
使っているオリーブの実の量と出来上がるオイルの量が比例していないことがよく分かります。
採れるオイルの量は、本当に少ないのです。
なので、貴重なのです。
収獲が終わると、オイルを一旦タンクに入れて保管します。オイルを少し落ち着かせてからボトリングが始まります。
色々なオリーブ農園を訪問していますが、
モッジカート農園は、オリーブ栽培の畑の広さは大きく、オリーブの樹も沢山保有しているのに、搾ったオイルを保管するタンクの小ささに驚きます。
丁寧に作っていることが良く伝わってきました。
彼らは更に、農薬を使わない無農薬栽培でオリーブを育てています。
無農薬栽培は、とても手が掛かります。
オリーブの樹は強いと言われますが、害虫や、つきやすい菌などもあるのです。強風にも決して強くありません。
オリーブ畑を歩き回り、オリーブの樹の状態を観察する姿は、まるでお医者さんのよう。
彼らが作った優しいオリーブオイルには、人柄がよく現れています。
本当に美味しいオイルだなぁ~と感じます。