「オリーブオイル=健康に良い」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
ですが、そのオリーブオイル、本当に新鮮なものでしょうか。
実は、市販されているオリーブオイルの中には、すでに酸化が進んでいるものがあり、かえって健康に悪影響を及ぼす可能性もあるのです。
この記事では、オリーブオイルの酸化についての基礎知識から酸化していない良質な製品の選び方までを解説します。
目 次
人は本能的に「新鮮なもの」を求める
私たちがスーパーでしおれた野菜よりも新鮮な野菜を選ぶのは、見た目や味だけの問題ではなく、身体が「酸化していないもの=劣化していないもの」を求めているからです。
人間の本能として、新しい=安全・栄養がある、と感じ取るセンサーが働いています。
これは人類の長い進化の過程で培われたもので、古くなった食材にはリスクがあると無意識に判断しているのです。
「新鮮さ」への関心は、健康への感度の現れでもあります。
ですから、本来はより「酸化」に対して興味をもち、避けるべきなのです。
オリーブオイルの酸化に敏感な人は少ない
不思議なことに、オリーブオイルや調理油になると「酸化していないかどうか」を気にする人は少なくなります。
理由の一つは「見えないこと」。
そしてもう一つは、「油は腐らないものだから大丈夫」という思い込みです。
このギャップこそが、健康リスクの見落としにつながっています。
実際には、油も鮮度が重要であり、劣化が進めば味や香りだけでなく、体に取り込む成分にも悪影響が出る可能性があります。
見えないからこそ、注意が必要なのです。

オリーブオイルの酸化とはどういう状態?
オリーブオイルの「酸化」とは、空気や光、熱の影響で油の成分が変質することを指します。
酸化が進んだ油は、風味が劣化するだけでなく、摂取することで体内の細胞に悪影響を与えることがわかっています。
特に、酸化した油に含まれる「過酸化脂質」は、老化や生活習慣病の原因になりうるとされているため、注意しなければなりません。

オリーブオイルが酸化する主な原因
オリーブオイルは自然食品であるがゆえに、保存環境や取り扱い次第で酸化が進みやすいという特徴を持ちます。
本来、酸化していないオリーブオイルには独特の香りや風味、そして抗酸化物質が豊富に含まれていますが、酸化が進むことでこれらの恩恵が失われるだけでなく、健康に悪影響を及ぼす物質が生成されることもあります。
とくに注意すべきは「光・空気・温度・時間」という4つの要素です。
どれか1つでも条件が悪ければ、せっかくの良質なオイルも短期間で劣化してしまいます。
以下では、それぞれの酸化要因とその対策について詳しく解説していきます。
光による酸化

紫外線や蛍光灯の光は、オリーブオイルの酸化を促進させます。
透明なボトルに入ったオリーブオイルは、暗色ボトルのものと比べて酸化速度が格段に速くなります。
そのため、多くのオリーブオイルでは遮光性のボトルが利用されています。
酸素による酸化

空気中の酸素と接触することで、オリーブオイル中の不飽和脂肪酸が酸化されます。
開封後は特に酸素との接触機会が増えるため、注意が必要です。
高温による酸化

25℃を超える環境では酸化速度が急激に上昇します。
キッチンのコンロ周辺など、高温になりやすい場所での保存は避けるべきです。
スーパーなどで販売されている場合は、高温になりやすい場所に置かれていないか確認しておきましょう。
時間の経過による自然酸化

時間が経過するにつれて、自然に酸化が進行します。
製造日から時間が経つほど、品質は低下していきます。
そのため、オリーブオイルのラベルを確認する際には、賞味期限とは別に製造日も確認しておきましょう。
新鮮ではないオリーブオイルが販売されている実態
私たちが「健康に良い」と信じて手に取るオリーブオイルの中には、すでに酸化が進んでしまっている商品が存在します。
見た目には問題がなくても、実際には鮮度が落ちていることに気づかないまま使い続けてしまうケースも少なくありません。
これは、オリーブオイルが本質的に見た目では酸化の進行が判断できないという性質を持っているからです。
さらに、市場では「オリーブオイル=体に良い」というイメージが強く根づいており、消費者の警戒心も低くなりがちです。
しかし、見た目(ラベルの素敵さ)や価格に関係なく、酸化していれば身体に良いどころか、健康を損なう原因になる可能性すらあるのです。
以下では、市販オリーブオイルの見えにくいリスクと、誤解されがちなイメージについて解説していきます。
市販のオリーブオイルは酸化が見極められない

オリーブオイルは見た目では新鮮さが判断しづらい商品です。
野菜なら手触りや色味で鮮度がわかりますが、オリーブオイルはボトルの中にあり、酸化の有無を視覚的に判別するのは困難です。
しかも油は10年経っても腐らないため、見た目が劣化していなくても、中身が酸化している可能性は否定できません。
オリーブオイルはすべて良いものという誤解に注意

「オリーブオイルは健康に良いもの」という認識がありますが、世の中には酸化が進んだオリーブオイルが流通しているケースがあります。
特に、輸入・販売業者がオリーブオイルに詳しくないケースでは、品質管理が不十分なまま販売されていることもあるのです。
そのため、本当に健康に良い酸化していないオリーブオイルを購入するのであれば、信頼できる専門家やブランドを選ぶ必要があります。
酸化しにくいオリーブオイルの見極め方
オリーブオイルは、保存状態や製造過程によって酸化のスピードが大きく変わる繊細な食品です。
健康のために良質なオイルを取り入れたいと考えていても、目に見えない「酸化」の進行を見極めるのは簡単ではありません。
だからこそ、購入前にチェックすべきポイントを押さえておくことが大切です。
以下では、酸化しにくいオリーブオイルを見極めるために役立つ3つのポイントを解説していきます。
新製品は酸化しにくい可能性が高い

スーパーなどで販売されているオリーブオイルから選ぶなら、新製品を選ぶのも一つのポイントです。
意外かもしれませんが、オリーブオイルの研究はまだ150年も経っていません。
ですから、伝統的な製法よりも、最新の設備で製造されたオイルの方が、収穫から搾油、瓶詰めまでのプロセスがスピーディかつ衛生的で、結果として酸化しにくいこともあります。
「伝統=安心」と考えるのではなく、最新の製法かどうかも一つのポイントとなるのです。
賞味期限はできるだけ新しいものを選びましょう

油は「超加工食品」とも言われます。
高温での精製やろ過を経て、保存性は高まる一方で、製造から何年も経過しても腐らないため、消費者はつい油の鮮度に無頓着になりがちです。
しかし、「賞味期限が長い=新鮮」ではありません。
ですから、賞味期限が新しいもののほうが、当然ながら新鮮なものと言えます。
知識のある人から買う

オリーブオイルを扱っている人が、必ずしもオリーブオイルに詳しいとは限りません。
信頼できる専門家や輸入業者が関わっている製品を選ぶことで、酸化した製品を購入してしまうリスクを抑えられます。
とくに「収穫日」「搾油日」などの明記がある製品は、新鮮さへのこだわりが見て取れるポイントです。
単なるパッケージやイメージで判断せず、情報開示の透明性や、生産地・製法への信頼性を重視してみてください。
購入後のオリーブオイルの酸化チェック
どれだけ良質なオリーブオイルを選んでも、購入後の扱い次第で酸化は進行してしまいます。
酸化は目に見えないため、知らないうちに風味や健康価値を損ねている可能性もあるのです。
だからこそ、オリーブオイルを手に入れた後にも「酸化の有無を見極める視点」と「適切な保存方法」が欠かせません。
以下では、購入後に気をつけたい酸化チェックのポイントを詳しく解説していきます。
酸化していないオリーブオイルは、香りと味が違う

新鮮なオリーブオイルは、フレッシュな草のような香りや、ピリッとした辛味を感じることがあります。
酸化が進んだオイルは、風味がぼやけ、鼻につくようなにおいが出ることも。
また、開封した直後の香りを覚えておくことで、時間が経過した際の変化にも気づきやすくなります。
購入後の保存方法にも注意

購入した後の保存にも注意が必要です。
基本的には直射日光を避け、冷暗所に保管し、できるだけ早めに使い切るようにしましょう。
開封後は特に酸化が進みやすくなるため、1〜2ヶ月で使い切るのが理想です。
また、注ぎ口に油がついたままだと空気に触れる面積が増えて酸化が進みやすくなるため、使用後は清潔な状態を保つのもポイントです。
酸化しないオリーブオイルを選ぶ知識が健康を守ります
「オリーブオイル=健康に良い」という認識だけでは、酸化した油を選んでしまう可能性があります。
だから切なのは、「何を選ぶか」ではなく、「どう選ぶか」です。
オリーブオイルの本当の魅力を体感するためにも「とりあえずオリーブオイルを選んでおけば大丈夫」ではなく、より慎重にオリーブオイルを選んでみてください。